コロナ禍「次亜塩素酸水」について

新型コロナウイルス(以下、COVID-19)の蔓延にともない、除菌や消毒液として利用されていた「次亜塩素酸水」。これまで日常的に利用されてきたアルコール水が、急激に供給不足に陥った。次亜塩素酸水が注目されるようになり、従来から製造・販売していた企業のほか、これを“商機”とみて多くの異業種企業が次亜塩素酸水を販売するようになった。

そうした状況のなか、NITE(製品評価技術基盤機構)が5月25日、「現時点では新型コロナへの有効性は確認されていない、噴霧での使用は安全性について科学的な根拠が示されていない」とした中間結果を公表。業界および消費者に大きな衝撃を与えた。続く6月4日には、文科省が各教育機関に「次亜塩素酸水」の噴霧を行わないよう通知。一部メディアでは「有効性を確認できず」と大々的に報じ、さらに波紋を広げた。
これに対し、次亜塩素酸水にかかわる業界団体・企業、有識者がHPなどを通じて反論。次亜塩素酸水の安全性・効果などを主張している。コロナの感染拡大で業界にとって大きなビジネスチャンスといえるタイミングに、行政レベルでのネガティブな発表があったことは大きな影響を及ぼしている。

中途半端なファクトシート
NITEがHPに掲載している内容をまとめると、(1)コロナウイルスに対して一定の効果が認められたものとそうではないものがある、(2)アルコール消毒液の代替となる身の回りの物品の消毒方法の評価が目的であり、空間噴霧は評価対象ではない、(3)国が定めた明確なガイドラインやルールは存在しないため、検証が待たれるとの内容となっている。簡単にいえば「効果がある製品と、ない製品があることはわかっているが、効果がない製品もあるから気をつけてほしい。どのように見分けるかの基準は明確化されていない」という内容だ。
この発表は次亜塩素酸水を取り扱う業者や一般消費者にとって非常にわかりづらい内容ではないだろうか。
内容をしっかりと把握せず、誤解を招くような報道を行った報道機関が不安を“煽った”ことが影響しているわけではないと思うが、このコロナ禍で明確な指針を示すのが重要ではないか。これでは事業者も消費者も不利益を被るだろう。

科学者らによる記者会見
今回の報道に怒りをもっともあらわにしたのは、長年次亜塩素酸水を研究していた大学・機関やしっかりとしたエビデンスの構築のもと、販売していた企業だ。前述のように、行政発表と一部メディアの報道によって、一般消費者の次亜塩素酸水に対する信頼性が大きく損なわれた。大学・機関はそれまでの研究結果を否定されたかたちとなり、各企業は消費者からの問い合わせの対応に追われる日々が続き、自社商品の信頼回復が見通せないという状況に陥った。次亜塩素酸水はもともと、中小企業が大半を占める業界であり、今回の発表による経済的損失は計り知れない。

そんななか、北海道大学名誉教授・玉城英彦氏、三重大学大学院生物資源学研究科教授・福崎智司氏ら有識者を含む次亜塩素酸水溶液普及促進会議(以下、促進会議)が6月11日、記者会見を開いた。会見は誤った報道、検査結果の訂正を求め、次亜塩素酸水に対するイメージ回復を訴えるものだった。
促進会議は会見、および公式HP(https://jia-jp.net)で以下のように述べている。「次亜塩素酸水溶液を世の中のために開発し販売し活用している皆さまが今不条理な誹謗中傷という風評の厄災の下、事業始まって以来の大変な苦難にあります。 この新型コロナウィルスに世界中の人たちが苦しんでいるときに、なぜ数十年にわたって日本の衛生と健康、産業のために役立ってきた次亜塩素酸水溶液の業界がバッシングを受けなくてはならないのでしょうか。今私たちはCOVID-19に対する最強の兵器としての次亜塩素酸水溶液を、日本と世界の感染防止に役立つことを改めて証明しなくてはなりません」。
「次亜塩素酸業界の権威」による会見に、賛同する多くの企業の声が促進会議の公式HPに掲載された。

消費者はどうすればよいのか
今回、COVID-19感染拡大以前から次亜塩素酸水の研究、製造・販売をしている各企業に取材を行った。さまざまな主張があり、その大半は「商品に対し、適切な研究結果を開示している企業と粗悪品を扱う企業とを一緒にしないでほしい」「省庁発表と過大な報道に過度な信用をしないでほしい」という2点だった。
コロナ禍で、消費者は販売されているさまざまな商品に対して選択と判断基準の目がこれまで以上に求められている。とくに「健康」に関する商品については注意が必要だ。商品を選ぶ際に、どのような成分が含まれ、どのように製造され、品質や安全性について公的研究機関で検証を行っているのかを確認する必要がある。ただ一般消費者にとって専門用語はわかりにくい。とくに今回の次亜塩素酸水のように「pH濃度によって違いが出る」などの報告書に基づいて商品を選択するのが難解な消費者も多いだろう。そのため今回の発表である意味、プラスに働いた面もある。

NITE、文科省、促進会議の記者会見を受け、しっかりとした効果の根拠(エビデンス)がある企業は自社HPで研究結果をより詳細に公表し始めた。わかりにくいという理由で、詳細までは掲載していなかった企業も、公表するようになった。具体的な内容すべてを理解できなくとも、商品を選択するうえで1つの指標となる。それでも気になる消費者は、各企業に直接問い合わせるべきだろう。

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